対応周波数は映画の中で無線機を手に持ちながら「敵に聞かれる恐れがある。周波数を変えろ!」と言ってるシーンを思い浮かべればわかりやすいです。
送信側と受信側が同じ周波数じゃないと会話ができない仕組みを利用して指示のやりとりをしていますよね。
この周波数の仕組みはSIMフリースマホと格安SIMも同じです。
対応バンドで変わる使えるエリア
楽天モバイルでセット販売されている「HUAWEI P9」。HUAWEIホームページで仕様を見ると対応周波数で次のように書かれています。
- FDD-LTE:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/19/20/26/28
- TDD-LTE:B38/39/40
- W-CDMA:B1/2/4/5/6/8/19
- GSM:850/900/1800/1900MHz
大切なのはFDD-LTEとW-CDMAです。TDD-LTEとGSMは関係ないので無視していいです。W-CDMAは欧州ではUMTSと呼びます。そのためUMTSと書いてある場合もあります。
FDD-LTEは日本で言う4Gです。この対応バンドを要チェックしてください。W-CDMAは3Gです。4Gで電波を掴めないときと音声通話で使われます。
見慣れない横文字が立て続けに出てきたのでここで一度まとめます。重要なのは2つです。日本名に直すと4Gと3Gです。
- FDD-LTE→4G
- W-CDMA→3G
以上を踏まえた上で続けます。
「FDD-LTE:B1/2/3」のB1/2/3はバンド1・バンド2・バンド3の略です。バンドは周波数の別名なのでHUAWEI P9はかなり多くの周波数に対応していることがわかります。
でも多くの周波数に対応していても格安SIMが発する周波数に対応していなければ意味がありません。楽天モバイルはドコモ回線ですからドコモの周波数を使っています。
ドコモの4G対応周波数は以下の数だけあります。
- バンド1 (2,000MHz帯)
- バンド3 (1,700MHz帯)
- バンド19 (800MHz帯)
- バンド21 (1,500MHz帯)
- バンド28 (700MHz帯)
この中で重要なのはバンド1とバンド19です。
東京・名古屋・大阪に住んでいる方はバンド3もあると最大速度が速いのでバンド1とバンド19だけより快適になります。
バンドの横に〇〇MHz帯とか書いているのはバンド表記ではなくMHz帯表記で書いてある場合があるからです。
そしてもう一つの3G対応周波数は以下の数だけあります。
- バンド1 (2,000MHz帯)
- バンド6 (800MHz帯)
- バンド9 (1,700MHz帯)
- バンド19 (800MHz帯)
この中で重要なのはバンド1とバンド6です。
バンド6は主に山間部などで使われています。なので山間部で通話を使うならバンド6が重要です。山間部に住んでいなければバンド1だけでも良いです。
楽天モバイルの対応周波数をHUAWEI P9の対応周波数と合わせると重要な周波数にすべて対応しています。
つまり、楽天モバイルでHUAWEI P9は電波のつながりが良いことがわかります。
これがもし4GのB1/B19と3GのB1/B6に未対応なSIMフリースマホだったら電波の受信ができなかったり、電波を受信できたとしても使えるエリアが極端に狭くなります。
au系格安SIMの対応周波数
au回線の格安SIMは4G(FDD-LTE)のみになります。対応周波数は以下の数だけあります。
- バンド1 (2,000MHz帯)
- バンド11 (1,500MHz帯)
- バンド18 (800Mhz帯)
- バンド26 (800Mhz帯)
- バンド28 (700Mhz帯)
重要なのはバンド1とバンド18またはバンド26です。
バンド26はバンド5/6/18/19を含むためバンド18に対応していなくてもバンド26に対応していればバンド18を使うことができます。
au回線の周波数バンド問題
au回線の格安SIM「mineo」のコミュニティに運営事務局による以下の投稿があります。
「SIMフリー」スマホのほとんどがなぜmineoの動作確認端末一覧に載ってないの?
https://king.mineo.jp/magazines/special/84
内容が難しいので話を要約すると、
au回線のバンド1はPHSが使う周波数に干渉してしまう可能性がある。この問題を解決するにはPHSの周波数を保護する技術(技適マーク)をスマホに搭載しないといけない。
しかし、この技術を搭載しているSIMフリースマホは少ない。だからSIMフリースマホのほとんどがmineoの動作確認端末一覧に載っていない。
つまり、au回線の格安SIMでSIMフリースマホを使うならPHS帯域を保護した製品か確認が必要です。技適マークの確認方法は既にSIMフリースマホをお持ちであれば以下の場所を確認するとあります。
- 端末のパッケージ
- 本体バッテリー取り付け部分
- 設定アプリ→端末情報
こんな感じのマークが技適マークです。(〒が入ってるマーク)
SIMフリースマホをお持ちでなければ総務省のホームページから検索することができます。
ただし、検索がGoogleなんかと違って非常に使いづらく、探し出すのに苦労します。また、スマホは年間でかなりの新作が登場するので更新作業が追い付かず検索にでないこともあります。
検索の仕方と見方はmineoコミュニティのこちらを参照してください。
もし調べてもよくわからないなら以下のスマホを使った方が良いです。以下のスマホなら100%技適マークがあります。
- 過去にauで購入したスマホ(白ロム含む)
- au系格安SIMでセット購入したスマホ
- 格安SIMの動作確認済み端末に掲載されているスマホ
PHSとは電話番号の頭番号が070番から始まることでお馴染みのケータイです。ウィルコムとかありましたよね。
携帯キャリアの周波数帯の参照元
日本では総務省が各キャリアに周波数を割り当てています。
そのためドコモ・au・Softbankが対応している周波数帯は総務省のホームページで公開されています。
総務省→各携帯電話事業者の通信方式と周波数帯.pdf
周波数帯ごとの役割
周波数は値が高いほど電波が早く届きます。しかし、電波の速度が速いほど高層ビルや山などの障害物を避けるのが難しくなるので電波が遠くまで届きません。
そこで大小さまざまな周波数に分けて電波を送ることでスマホの使えるエリアを広範囲に広げています。
例えば格安SIMで利用率の高いドコモ回線の4Gだと、
広域をカバーするバンド1(2100MHz)
建物内でも電波が届くバンド19(800MHz)
併用して互いに電波の届きにくい場所を補完し合う仕組みになっています。
他のバンドは人口集中地区の速度対策用などです。
都道府県別の対応エリアを調べる方法
前述の通り重要なバンドさえ抑えておけば問題ありませんが、一応ドコモやauに対応エリアを調べる方法があります。
対応エリアを見ても「ふーん」で終わるかもしれませんが。
例えば私の住んでいる熊本県だと画像の色が付いている部分が電波の通っている場所になります。この色によって電波の種類が変わります。
- 赤色が電波を重複利用して高速通信できる「PREMIUM4G」エリア
- 黄色がバンド1などのLTEエリア
- 紫色がバンド19のLTEエリア
- ピンク色がバンド6のFOMAエリア・FOMAプラスエリア
- 青色がFOMA海上エリア
定期的に更新されます。対応エリアの見方はエリアマップの下部に記載されています。
ちなみに東京だとこんな感じです。